B-NINJAH&AK-69

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年01月29日 12:00

更新: 2004年01月29日 18:42

ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)

文/一ノ木 裕之


「もともと聴いとった音楽が日本語のパンクとかで、そっからレベル・ミュージック的なダンスホールものにいって、〈あっ〉って。肌に合ったって言い方がいいと思うんですけど」(B-NINJAH)。

「ラップをやる前に歌を歌ってたんですけど、ラップの表現がいいと思った。それまでも聴く環境はあったんですけど、だんだんビートにやられていったんですよ。 で、その後リリックにトバされて。俺が思ういろんなことを表現できる、歌えるなって思って。表現方法として純粋におもろい」(AK-69)。

 名古屋のサウンドであるGUIDING STARのDJとして、同サウンドが主宰するレーベル、RED HOTを中心にしながらダンスホール・レゲエ界隈でコンシャスな楽曲も発表してきたB-NINJAH。M.O.S.A.D.など名古屋関連アーティストの楽曲において、Kalassy Nikoff名義でシンガーとしての活動も行ってきたAK-69。いずれも名古屋の近隣に位置する小牧、春日井という地の出身である2人が99年、とあるレコード屋でのひさしぶりの再会を機にコンテストに出場、その結果をもって正式にユニットを結成。それから4年近くの時を経て、ついにファースト・フル・アルバム『DA REAL THING -from the street-』をリリースするに至った。

「個々でやってることがあるんで」(AK-69)。

「だからあえてグループ名も付けてない。付けられなくなっちゃいましたね(笑)」(B-NINJAH)。

 そう話す、音楽的なバックグラウンドも「微妙に違う」(B-NINJAH)2人には、偶然がもたらしたというべき道のりの交差への気負いはまったくない。だからこそ、彼らの曲には身近で起こったことをそのまま、時にストーリーを伴って歌詞に写し込んでいる。

「私生活のなかで実際にあったことや、自分が感じたことをそのまま歌ってるんですよ。きれいごとよりもストレートに、身近で人間臭いもんを作りたいし、人間臭いもんが好きなもんで。自分が経験したことを、聴いた人がちょっとでもかすめるぐらいのノリで伝えたいなっていうのがある」(B-NINJAH)。

「リリックを読んどって〈ふーん〉って思うものよりも、〈あー、わかる〉っていう歌にやられるよね、パンクでもロックでも歌謡曲でも。胸にくるリリックってあるじゃないですか。そういうものがいちばん」(AK-69)。

 M.O.S.A.D.やPHOBIA OF THUGを筆頭として、名古屋の一翼を担うアーティストたちの音楽にあるギャングスター的アティテュードは、リスナーのファンタジーや憧れを喚起しうるものだし、2人の音楽にもそういった面は少なからずある。2人がそんな名古屋勢と響き合うのもそこに価値観の共有があるからだろう。しかし、それ以上に2人にとって大事なのは、自分らの音楽がレベル・ミュージックであるという意識だ。彼らは周りに溢れる音楽に対する嫌悪を隠さない。

「ラップが言葉遊びから始まった音楽なのは確か。でも、ディスするわけじゃないんですけど、〈しりとりじゃねぇんだで、おまえ〉みたいな曲が売れて、ワーッと言われてる。それを見てると、そんなかに自分たちの曲をブチ込んでいけたらいいなって思いますね。音楽の形がそうやって決まってきちゃってるけど、そうじゃねぇんだよっていうのがあるし」(AK-69)。

「メッセージは今のような時代にこそ必要だと思うんですよ。なのに、バブルの時はバブルの時でお祭り騒ぎをして、今も今でこういう時代なのに、普通に〈すべてを忘れよう〉みたいなチャンチャラしたような歌しかなかったら、いつになったら日本はそういうメッセージに耳を傾けるのかなって」(B-NINJAH)。

「歳食ってくるにつれて物事の裏が見えるようになってきた。そこで問題だと思うことがあったら、もっと声を大にして歌っていきたいですね」(AK-69)。

 新しい年に向けて着手するという2人のソロ・ワークも含め、この先よりそれが形になっていくことを期待したい。

PROFILE

B-NINJAH & AK-69
99年、レゲエDJのB-NINJAHとラッパーのAK-69によって結成。名古屋周辺地域において活動を展開し、2001年にプロモーション用に制作したテープ音源がアンダーグラウンド・シーンで話題となる。その後、M.O.S.A.D.らを中心に、ヒップホップ、ハードコア・パンク勢が集ったユニット、POUNDに参加。2002年には自身のファースト・シングル“THE ONE TIME -WAKE UP MY HOMIES”を発表し、その名を全国に轟かすようになる。イグジビットやフロストといった海外のヒップホップ・アーティストとのライヴ共演やオープニング・アクトを務めてさらなる話題を集めるなか、待望のファースト・アルバム『DA REAL THING -from the street-』(MS)をリリースしたばかり。